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既存の「北欧ミニマリズムの時計」の一つには甘んじない ー Klasse14 メインデザイナー マリオ・ノビル

既存の「北欧ミニマリズムの時計」の一つには甘んじない ー Klasse14 メインデザイナー マリオ・ノビル

 他人の真似やコピーしかできない者は、運が良くてもせいぜい二番手止まりだ。 

- Klasse14 メインデザイナー マリオ・ノビル

数年前にスウェーデンのブランド、ダニエルウェリントンが新たなるブームを巻き起こして以来、市場には「ミニマリズム」を掲げる新しいウォッチブランドが毎月のように出現している。しかし見た目に大差は無く、「シンプル」「ミニマル」「北欧」といった枠組みから抜け出すことに成功したブランドは数少ない。イタリア出身のKlasse14は円錐形にくぼんだアバンギャルドな文字盤デザインで注目され、2015年に日本に進出、2016年までに20万個を売り上げた。また昨年には、チムサーチョイのK11 Art Mallに香港初の実店舗を開設。今回、The Unit Journalのインタビューでは、メインデザイナー兼クリエイティブディレクターのマリオ・ノビルにデザインする際のインスピレーションについて、そして今の時代におけるデザイン的な潮流に対する見方などについて語ってもらった。

Q:近年、「ヒップなサブカル系」や「ミニマリズム系」デザインの第一人者によるブランドウォッチが市場に溢れていますが、こういったデザインの潮流についてどう見ておられますか? 

マリオ:数年前にネットでスウェーデンのブランド、ダニエルウェリントンが流行って以来、北欧風のミニマルなデザインと薄くエレガントな文字盤を用いたデザインが主流となり、ダニエルウェリントンはデザインウォッチ業界のクリエイティビティの旗手となったんだ。「ヒップなサブカル系」や「ミニマリズム」といった単語はこの流れを表していると思う。だけど市場に出ている北欧風のミニマルなデザインは、どれもさほど代わり映えしないうえに、冷たい印象を与えるものだと個人的には感じている。ダニエルウェリントンに続いて市場にわんさと出て来たのは見た目がさほど変わらないものばかりで、これらのブランドには二つの大きな弱点があると思う。一つ目は、現存するブランドのデザインを真似しすぎているということ、二つ目はストーリー性に欠けているということ。それに加え、近年のファストファッションの流行という流れから、多くのブランドが市場でなんとかおこぼれにあずかり、ブームに乗ったプロダクトで手っ取り早く稼ごうとしている。だけど、他人の真似やコピーしかできない者は、そのオリジナルに取って代わることは難しいし、運が良くてもせいぜい二番手止まりなんだ。デザインの本質的な意味というのは、作品にインスピレーションとストーリーを与えることだと僕は思う。ただし、重要なのは抽象的になりすぎず、シンプルでいてリアルさを維持していること。息の長いブランドにしたいと思うなら、流行に乗ろうとしてはいけない。なぜなら、流行という潮流より速い者は永遠にいないからね。

顧客に常にサプライズを届けることもブランドの人気の要素の一つである。

-Klasse14 メインデザイナー マリオ・ノビル

Q:Klasse14は日本でも短期間で人気が出ました。最も大きな理由は何だと思われますか?

マリオ:日本に初上陸した際にはセレクトショップBeamsで販売し、その後Urban ResearchやTiCTACなどに展開していったんだ。Beams本社のバイヤーは、日本の消費者は市場の既存ブランドに飽きていて、テクスチャのある新しいブランドを探していると語っていたよ。これらのセレクトショップは日本の流行文化に対して大きな影響力を持っているため、売上が一年で6倍に跳ね上がり、2015年から2016年の間には日本エリアだけで20万個を売り上げることになったのだと思う。

日本のBeamsに設置したKlasse14コーナー

2016年 Klasse14とUrban Researchのコラボ企画

ニューラインOKTOの渋谷TiCTAC ポップアップストア

僕たちはデジタルマーケティングも非常に重要だと考えていて、常にソーシャルメディアでプロダクトを露出し、その際には多くのプロダクトをペアで紹介するようにしているんだ。例えば、スタンダードラインであるVolareは各デザインに36mm42mmの二種類のサイズがある。それをペアで紹介することで、この時計が欲しいと思った時、恋人や親しい友人、家族などを思い浮かべてもらうことができ、顧客の更なる購買意欲を掻き立てることにつながるんだ。また、僕たちは不定期に期間限定プロダクトも発売していて、パッケージデザインも期間限定のテーマに沿って変化する。顧客に常にサプライズを届けることもブランドの人気の要素の一つなんだ。

Instagram: @klasse14

S/S2017期間限定プロダクト Miss Volareシリーズ

デザインが与えるインスピレーションがブランドのコアバリューである。

- Klasse14 メインデザイナー マリオ・ノビル

Q:あなたのブランドを読者にご紹介ください。

マリオ:僕はもともと装飾品のデザイナーで、2014年7月にKlasse14を立ち上げたんだ。ブランド名は世界貿易機関(WTO)の商標登録の商品区分から取ったもので、宝飾品および時計は第14類に属しているんだ。それから、KlasseはClass(カテゴリー)のドイツ語だよ。僕は、インスピレーションはデザインよりも重要で、インスピレーションがブランドのコアバリューだと考えている。当ブランドのメインシリーズであるVolareは、僕が一番好きな「ワシ」にインスピレーションを得てデザインしたものなんだ。上向きに曲がっている針はワシが空の果てを旋回する姿をイメージしたもので、裏ぶたには「Freedom Is Life」と刻み、自由への僕の憧憬を表現している。

Volareシリーズの円錐形にくぼんだ文字盤

裏ぶたには「Freedom Is Life」の文字

Klasse14は特定のスタイルにはこだわらない。なぜなら、Klasse14のコアバリューは僕自身の生き方と信念が源泉だからね。プロダクトデザインから宣伝写真の撮影に至るまで、僕は全てに参加する。そうすることでこそ、デザインのスタイルに統一性を維持することができるんだ。それから、Klasse14のデザインはシンプルでありながらディテールにこだわっている。例えば、Volareの円錐形にくぼんだ文字盤には、時計の枠と同じ材質の金属を採用していて、見た目がより滑らかで距離感を感じさせず、誰もが身につけやすい時計を実現したんだ。また、僕は自分が気に入っている事物やファッションスタイルから様々なテーマを発想するようにしている。例えばS/S2017のSATORIA COLLECTIONはイタリアDragoのスーツ生地をベルトに採用したんだ。

S/S2017 SATORIA COLLECTION

 

画像 / Klasse14 提供